無意識の中のお酒のある生活

友人と食事に行った時にアルコールを頼んだり、毎日晩酌で缶酎ハイを飲んでいる生活はお酒と共存していると言っても過言ではありません。飲んでも酔っぱらわない、二日酔いにならないからと、お酒の摂取を「適量」と自己解釈していると思いますが、実際はアルコールに依存している体質になっています。

そのほかにもテレビCMや日々との友人や同僚、街中を歩く酔っ払いなど日々の生活の中で無意識にお酒に触れる機会がたくさんあります。生活の中にあるお酒の正体を理解して、向き合いましょう。

1日の終わりのお酒

自宅で毎日お酒を飲むようになる理由は人それぞれです。仕事や人間関係で上手くいかず飲み始めたり、コロナ禍で家ですることがなく飲み始めたり、いろんな動機があると思います。数日から始まった晩酌ですが、止め時を失い、1ヶ月以上続き、晩酌が習慣化してしまいます。体もお酒のある生活に慣れて、お酒がないと眠りにつくことができなくなります。

ここから自宅での毎日お酒を飲むことの沼にハマります。昨今、おつまみやお酒の種類が充実しており、自分好みの商品を見つけるのが楽しくなります。また、季節限定の商品などもコンビニなどで多く販売されているため、その都度試すようになります。このように毎日の飲酒を繰り返すことで、当初は一時的なリラックスや快楽のためだったが、お酒を飲むことが目的となり、上手く酔うことを覚え、晩酌が1日の楽しみになってしまします。

お酒を飲んで一時的にストレスなどを忘れることができますが、翌朝目覚めるとまた同様の現実に直面します。飲酒は不安やストレスへの解決策ではなく、現実逃避ではないことを理解しましょう。むしろ、解決や対応が後ろ倒しになって、またお酒を飲むというサイクルになってしまいます。

お酒に対する過剰な思い込み

お酒を飲めないと「友人と楽しい時間を共有できない」「同僚から飲み会に誘われない」など、お酒の力を過剰に捉えている人が一定数います。完全に否定はできませんが、決してそんなことがなく、お酒がなくても問題ないです。

SNSが一般化して、旅行で食事やお酒の写真を共有することも増えました。その結果、その産地のクラフトビールや地ビールなどにも興味が出るようになり、飲酒するようになります。そして、お土産にもお酒を買うようになり、そのお酒を家で飲むことで旅行の余韻を楽しみます。旅行にはお酒が付き物になってきました。これがまさに、無意識の中でお酒のある生活を送っていることになります。しかし、冷静に考えると、旅行中はお酒を飲んでほろ酔いで観光するよりも、シラフで観光したほうが記憶にも残ると思います。お酒を飲みながら旅行をすると「酔っ払っていた」記憶がだけが残り、その町の雰囲気や建物や自然の記憶が薄くなります。旅行の楽しみ方は人それぞれですが、少しもったいない気もします。

旅行以外でも、アウトドアやスポーツなどのエンタメ系の楽しみ方がお酒がセットになっています。キャンプなどのアウトドアではバーベキューとセットです。スポーツではビールの樽を担いだ売り子がスタジアムの見どころの一つにもなっています。スポーツやエンタメではお酒を楽しむことができますが、試合自体が楽しかったのか、スタジアムの独特な雰囲気の中お酒を飲んだのが楽しかったのか分からなくなります。

2022年にカタールで開催されたサッカーW杯ではお酒の販売はできませんでした。カタールはイスラム教でお酒の飲酒が禁止されています。W杯開催の直前まで議論されていましたが、開幕直前にお酒の提供はしないと決定しました。決定時は多くのサッカーファンからネガティブな意見がありましたが、実際にW杯が開始すると「試合自体を楽しめた」「お酒がなくても盛り上がれる」などのポジティブな意見がたくさんありました。

友人との食事も同様で、実際はお酒がなくても充実した時間を過ごすことができます。しかし、お酒に対する過剰な思い込みがあり、更なる飲酒を進めています。お酒がない生活に慣れると、過剰な思い込みも減少するでしょう。

ビジネス化されたお酒

ビジネス的なお酒の市場はとても大きく、たくさんのお金が動きます。そのため、テレビCMでも有名タレントなどを起用して、広告をしています。節分には恵方巻き、バレンタインにはチョコレートなど、ビジネスが発祥で根付いたり広がった文化があり、お酒も同様のことが起きています。例えば、クリスマスにシャンパン、バーベキューにビールなどです。これらはメーカーがその期間に販売数を最大化するためのマーケティングの施策です。

また、サラリーマンがお酒を飲みながら愚痴っている、記念日は高級レストランでワインなどを描写するドラマのシーンが流れます。これも無意識に脳にインプットされ、行動に影響を与えています。


このように無意識のうちにお酒は生活の中にあり、影響を与えています。これらに対応するためには、無意識の意識化をする必要があり、ただ見て聞いて終わりにするのではなく、立ち止まって考えてみましょう。