「飲みニケーション」は死語となった古い習慣

インターネットやSNSが普及するまでの平成前半までは飲み会もコミュニケーションの一環と捉え、飲みニケーションが一般的でした。しかし、平成の後半になると、スマートフォンなどの発達により、世界中のいろんな情報にアクセスできるようになり、価値観や考え方が多様化されるようになってきました。

それに伴い、仕事での飲み会に対するネガティブな意見が出るようになり、昨今では「飲みニケーション」が古い考えとなり、死語となり、使われなくなってきています。

そもそも「(お酒を)飲む」 と 「コミュニケーション」を合わせた造語です。仕事中は業務の話に集中しがちですが、お酒を飲むことで無礼講の中、プライベートやそのほか多くのことが話ができるため、広がったコミュニケーションスタイルです。これは終身雇用や年功序列などの日本の企業の特徴が背景にあり、できた文化です。昨今は「飲みニケーション」は古い考え方になりつつありますが、それぞれな意見があります。

「飲みニケーション」のネガティブな意見

時代や価値観が変わり、「飲みニケーション」に対してのマイナスな意見が顕在化してきました。

  • 飲み会は勤務時間に含まれない。プライベートの時間に会社の人と関わりたくない。
  • 飲み会を通じて人間関係を構築したり、社内人脈を広げたり、上司への根回しなどは面倒
  • 上司や同僚の武勇伝を永遠と聞かされるのは、時間の無駄
  • 人には色んな事情があるからそこを理解してほしい。全員が飲み会を好きな訳ではない
  • 飲みニケーションやろうがやらなかろうが、仕事で成果を出す人は出す

このような意見があり、コミュニケーションや個人と会社との関係性に以前と比べ変化があったように思います。

「飲みニケーション」のポジティブな意見

ポジティブな意見がクローズアップされるようになりましたが、「飲みニケーション」を重視している人や楽しんでいる人もまだたくさんいます。

  • プライベートの話もでき、上司や同僚の新たな一面を発見や共通事項などを見つけることができる
  • 新人や入社後すぐの時は、会社のいろんな話を聞くことができて新鮮
  • 忘年会、歓送迎会など、節目での飲み会はあってもいい。頻度と目的次第です。
  • 参加する前は面倒でもいざ参加してしまえば、楽しめる。飲み会を頑なに拒否するのではなく、参加してみてもいい

人生の中でも仕事の比重が大きい人や仕事が充実している人はある程度「飲みニケーション」に対する理解もあります。個人に環境や価値観と合わせながら「飲みニケーション」をポジティブに捉えています。

「飲みニケーション」の変化

2020年以降、社会的な環境の変化などにより、飲み会や人間関係の構築に大きな変化が起きています。

コロナの影響

2020年に世界で感染したコロナでライフスタイルやお酒との付き合い方が大きく変わりました。それまでは会社に出社することが当たり前で、退勤後に同僚とお酒を飲みに行くことは多かったです。しかし、コロナで会社の飲み会や飲食店での飲酒が制限がかかるようになり、飲み会の文化がなくなりました。また、感染予防や体調を理由に飲み会を断ることがしやすくなりました。家で過ごし時間も多く、健康改善や飲酒習慣を見直した人も多いです。そのタイミングで禁酒や減酒をした人もたくさんいます。
また、リアルや対面でのコミュニケーションの機会が減り、オンラインでのコミュニケーションが一般化しました。それに伴い、オンライン飲み会など新たなスタイルが生まれ、会社でのオフラインでの飲み会などの重要性がなくなってきました。

ハラスメント

ガバナンスやコンプライアンスという言葉を耳にする機会が増え、その重要性は増してきています。飲み会の席でお酒を飲ませすぎてしまってアルハラ、酔っ払った勢いで異性に不適正な発言をしてセクハラ、期待を込めてフィードバックしたものが説教ぽくなってしまいパワハラなど、飲み会の席がハラスメントの温床でもあり、会社側も注意しています。
飲み会での禁止事項や立ち振る舞いに関する研修も充実させ、業務外の飲み会で業務に影響が出ないように取り組んでします。これらの研修や呼びかけがだいぶ浸透してきており、無理に飲み会に誘うことなども減ってきました。その結果、上司の立場でもリスクが伴う飲み会に参加したがらない人が増えています。

「飲みニケーション」は会社次第

時代の流れ的に「飲みニケーション」に対してネガティブな意見を出しやすくなりましたが、飲み会の必要性を実感している会社や個人はたくさんいます。スタートアップなどで密にコミュニケーションを取りたい会社では、今でも飲み会が盛んな会社もたくさんあります。会社の業界、企業文化、社員の年齢層、働き方などいろんな要素で、その会社の飲み会の重要性や優先度が異なってくるかと思います。
人事の立場では会社の立場では飲み会は強制できないものの、コミュニケーションを活性化して、チーム力の向上は目指しています。そのため、飲み会の費用は会社が負担したり、夜の飲み会の代わりにランチに変更、社内での簡単な飲み会や交流会の開催をしています。
社長や上層部が飲み会が好きな場合は飲みニケーションが多い会社になりますし、社長や上層部が飲まない会社は必然と飲み会が少なくなります。

「飲みニケーション」は個人次第

飲み会にはメリットデメリットがあり、出席の可否の判断をするのは個人次第です。飲み会へのスタンス、ワークライフバランスの比重、会社や同僚との関係性、などは個人に委ねられます。
参加してもしなくても、個人の判断が正しかったと言えるようにしましょう。

このように「飲みニケーション」は減少傾向にあるものの、なくなってはいません。いろんな環境が変化している中で、少なからず残っていくと感じます。その中で、飲み会とうまく向き合い、利用する必要があります。

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