「禁煙」に続き、「禁酒」の時代へ

昭和の時は新幹線や飛行機、映画館や飲食店などどこでもタバコを吸うことができ、日本の人口の70%以上は喫煙者でした。しかし、健康への影響が大きいことが分かり、タバコは喫煙者は1995年をピークに減少しています。それに反比例して、タバコの税率も高くなり、国としても喫煙に対して否定的な傾向になっています。
2010年代になるとタバコに対する規制が厳しくなり、また紙タバコではなく電子タバコを吸う人も増加してきました。現在では、電子タバコを含む喫煙率は人口の15%ほどです。

タバコの害やデメリットは50年かけて、日本人に浸透して政府が変わり、国民が変わりました。一方で、お酒はタバコ以上に日本人の生活に馴染んでおり、取り除くことが難しいため、お酒や飲酒の害が正しく伝わっていないのが現状です。

以前、日本のタバコの販売はJTの前身である、日本専売公社が行っていました。ここがタバコを推奨するようなテレビCMなどをしており、タバコを吸うこと自体がネガティブなことではありませんでした。飛行機や新幹線で喫煙するのが当たり前でしたが、2000年代にあり大きく状況は変わりました。現在、飛行機や新幹線で飲酒するのが当たり前ですが、10年ぐらいのうちに大きく変化する可能性があります。

お酒の害を理解

お酒の飲み過ぎや過剰摂取やアルコール依存が社会にもたらす影響はとても大きいです。仕事する人の生産性、飲酒による健康被害増大による医療費の増加、飲酒による事故やトラブル、飲酒運転による社会的な悲しみなど、飲酒により多くのネガティブな要素があります。

お酒はコンビニなどでいつでも購入することができるため、簡単に飲むことができる環境にあります。そのような環境が、タバコほど害は小さいなどの意識になり、お酒は問題ないとの誤解につながります。

国民や消費者はお酒に正しい知識を持つ必要があります。喫煙者はタバコの肺や体に対する害を把握している人も多く、それを自身で許容してタバコを吸う選択をしています。タバコの場合はパッケージに注意が書いてあり、真っ黒になった肺の画像をインターネットなどでも目にすることがあります。実際に海外のタバコのパッケージは、喫煙がもたらす健康の害の写真が掲載されており、喫煙者に対して注意を払っています。

お酒を飲む方もタバコ同様にお酒に対する正しい知識を身につけ、禁煙後のメリットなども把握する必要があります。長期的に飲酒を続けることでのデメリットやアルコール依存症のリスクなども知る必要があります。

禁酒の今後の社会的な傾向

タバコが1970年代から徐々に禁煙の意識が高まり、2000年代になり急速にタバコを吸う人が減りました。国ごとでの差はあるものの、世界的に禁煙の傾向にあります。一カ国では変わらなくても、本当に体や社会によくないものは世界共通で、少しづつ禁煙の歩みを進めています。

禁酒も同様に、世界的にお酒に対する意識が急速に変わりつつあります。グローバル化とインターネット化の影響を受けて、お酒を飲むことが決してカッコよく/可愛くないと認識されはじめました。また、2020年から数年間、コロナの影響で友人などとお酒を飲む機会が減り、そこで新たなライフスタイルを見つけた方も多いです。日常の中にお酒が必要不可欠なアイテムでないことを認識しました。

幼少期からインターネットと共に成長したミレニアム世代やインターネットネイティブ世代と呼ばれる層が、「お酒を飲まない」という選択をする人が増えています。会社の飲み会なども自身の判断で行かないと判断し、それが尊重される世の中になってきています。
このような世代が、お酒を飲まないことへのメリットにも気付き出しました。ゆとりのある時間ができたり、お金が節約したり、睡眠の質が上がったりです。

日本で路上喫煙(歩きタバコ)が禁止されたり、いろんな規制が開始したのは欧州の影響を受けているからです。日本は欧州に倣いながら喫煙に対する施策を進めました。同様に飲酒に対しても欧米の方が進んでおり、ソバーキュリアスのような価値観も生まれてきました。タバコ同様に日本も欧米に倣って、お酒が飲まないことが推奨される時代になるのも、遠くないかもしれません。過去にタバコを吸っていた人は、禁煙を開始した1ヶ月は禁断症状も強くとても大変でしたが、数ヶ月以上経つとなぜ吸っていたんだろうと思うこともあります。お酒でも同様になる可能性があります。

このような世界的な傾向や社会的な流れもあり、お酒を飲まないライフスタイルや価値観が肯定され始める日はそう遠くないと思います。