飲酒に関するトレンドや若者の考え方

いつの時代も流行やトレンドは若者が作ると言われています。ファッションなどは1年単位で流行が入れ替わりますが、お酒に関する考え方や価値観は徐々に少しづつですが若者を中心に変わってきています。

お酒と人間は付き合が長く、古代エジプト時代からあったと言われています。そのため、世界中のいろんなところで、長い年月を掛けてお酒に研究が進み、同時に人々の生活の一部となりました。

お酒のメリットデメリットはそれぞれあります。いつもお酒を飲んでいると慣れて、お酒から得られる多幸感やリラックス感が弱まり、常態的な飲酒や過剰な飲酒に繋がり、アルコール依存症へと繋がります。その他にも、仕事へのパフォーマンス、コミュニケーションのミス、家庭内への不和にもなります。

「お酒は飲めたほうがかっこいい」「お酒での武勇伝」は以前は一般的でポジティブな要素が強かったですが、価値観の多様化などにより、そのポジティブに捉えられなくなってきています。
また、2020年にコロナが世界中に蔓延し、世界中の人たちの行動パターンやライフスタイルが変わり、これもお酒への考え方や行動が大きく変わった要因でもあります。このように、時代に流れに合わせて、お酒に関する考え方が急速に変化しようとしています。

「しらふ」でいることを選択

SNSなどで度々話題になるのが「飲み会スルー」です。これは、新年会や忘年会などの飲み会に参加したくないミレニアム世代の若者が、飲み会を断り、参加しないことです。定期的にSNSでは話題になりますが、40代と20代の相容れない議論がSNS上で繰り広げられています。40代の社員にとっては常識であり、若い頃してきたことなので20代にも同様のことを期待しますが、現在の20代とは考え方が合わないみたいです。このような世代間ギャップを埋めることは今後のいろんな場面で発生すると思います。

現在の日本は半数以上が飲酒習慣がないです。そのなかでも、全く飲まない人も多く、お酒を飲むことが実は少数派だったりもします。これも40年前のバブルの時代と比較すると大きな差です。このようにミレニアム世代やZ世代では、お酒を飲まない選択をしている人が増えてきており、それは世界的な傾向です。

ソバーキュリアスとは

ヨーロッパやアメリカで「ソバーキュリアス」という価値観が生まれてきています。ソバー(Sober)がしらふ、キュリアス(Curious)好奇心という意味です。
これは、「お酒がない生活でも、好奇心を持って楽しむ!」という考え方です。ソバーキュリアスは、まさに2000年以降に生まれたミレニアム世代を中心に広がっている考え方です。ミレニアム世代は別名インターネットネイティブ世代と言われ、スマートフォンやSNSと共に成長したため、情報にはとても敏感です。また、物事の損得も大事ですが、社会的な意義や共感性を大事にしており、環境への配慮や健康も重視します。このような背景があり、ミレニアム世代がお酒がなくても心身健康に楽しめる生きを目指しています。
元々は、海外で根付き始めた考え方ですが、日本にも浸透しつつあります。

今後は「酒が飲めるのがカッコこいい」から「シラフで人生を謳歌するのがかっこいい」時代に変わる可能性があります。

ノンアルの浸透

飲み会の席で一人ノンアルコールを注文するのは気まずく、飲みたくないお酒を飲まなくてはならない場合があります。
お酒を飲めないだけで、飲み会に誘われなくなったり、グループから仲間外れになる可能性などもあります。このようにお酒が弱い人や苦手な人が飲み会の席で冷ややかな目線を感じています。

しかし、最近は時代が変わりつつあり、社会もそれを受け入れてくれる傾向にあります。代表的な例としてはノンアルコールビールが普及して、飲食店でも提供している店が増えました。そのほかにも、ノンアルコール専用のバーができたり、ソバーキュリアスのコミュニティで新たな人間関係を構築する流れも広がっています。お酒が飲めない人は下戸(げこ)と呼ばれ、肩身が狭い立場でしたが、現在ではゲコノミストと呼ばれる、下戸の集まりのコミュニティもできています。

また、下戸だけでなく、本当は飲めるけど、健康や生活のためにやめた方たちもたくさんいます。お酒を飲まない人も増えており、ノンアルコールの商品数も増えて市場も成長しています。

日本のアルコール対策

海外のアルコール対策は日本よりも厳しいです。指定されたレストランや場所でしか飲酒をすることができないのがほとんどです。特に海外では公共の場で酔っ払うと罰則になり、ここが日本と大きな認識の違いです。

昨今、日本に訪れる外国人が増えていますが、「路上での飲酒」「酔い潰れて路上で寝る」などは日本の独特な文化として、珍しがっています。これは日本の飲酒しても暴れすぎない点や、路上で寝てても窃盗されないなどの治安の良さが背景としてあります。実際に、外飲みを経験するために多くの外国人が渋谷のセンター街に訪れ、外でお酒を飲むことを楽しんでいます。また、外国人とは文化的理由、宗教的な理由、遺伝子的な理由などと様々な事情が異なりますが、外国人とのお酒に関する考え方が異なります。

このように日本でのお酒との付き合い方が変わりつつあり、特に若者中心に大きな転換期となっています。